自家製スィーツご紹介
コーヒー屋がチョコレートを作る
当社では定期的にコーヒーの産地視察に訪れますが、以前よりコーヒー畑の片隅や産地までの道中にカカオの木を見かけ、カカオとコーヒーの産地が同じ地域で収穫されることに興味を持っていました。
実際に中南米やインドネシアの山の高いところでコーヒー、低地でカカオが収穫されます。またカカオもコーヒーと同じように焙煎することで味を作ることが出来ます。
コーヒーはフィルターで濾して飲料として飲みますが、カカオは微粉砕したカカオに砂糖を入れドリンクとして飲みます。
コーヒーとカカオは歴史的にも同じような経緯があり人々が飲み始めたころは薬用であったり儀式に使用されたりと似通ったところが非常に多いのです。
そこでカカオの原料を手に入れ、とりあえずコーヒーの焙煎機に入れ焙煎したことから、当社でのチョコレート作りがスタートしました。
どのくらい煎れば良いのかもわからず、とにかく焼いたところコーヒーのようにある程度の温度まで焼くとハゼてきました。頃合いを見て焙煎機より出し、さましてひと粒口に入れたところ驚きました。チョコレートの味がするのです。さらに今まで体験したことのないような香りと味で、グレープやオレンジのような酸味とナッツや香辛料のような何ともいえない爽やかな味にそそられました。
自家製のチョコレートを作ろうと本格的に立ちあがりました。
当店では洋菓子製菓部門もあるのでパテシエに相談したり、訪ねてきた元コーヒー商社マンと話をしてカカオの輸入の手配をお願い出来ないかと頼み込んだり。しかし、カカオはコーヒーと違い雑菌や害虫に侵され港で陸揚げされないリスクが大きいので誰も少量では輸入を手がけたくないとのこと。
もしかしたら出来るところがあるかもしれないというので、紹介していただくことにしました。
そして紹介していただいた方はかつて大手チョコレートメーカーでチョコレートの企画、開発に携わり、現在はフリーのカカオコンサルティングとしてカカオ豆の開発を通じ、生産と消費国のパイプ役として活躍されている専門家でした。
無理をいって当社の製菓工場のパテシエのために「カカオの勉強会」の講師を頼み込み金沢まで来ていただき、1日カカオの産地や製法やまた実際に製品作りまで教えていただきました。
この方の口利きで品質の良いカカオの原料も手に入れる事が出来るようになり、早速製品作り!この勉強会で分かったことは、実はミルですりおろしたものをさらに24時間、練りに練って香り豊かな風味を熟成させる「精錬」が必要ということでした。
ただ日本には精錬する道具がなく、相談したところインドでは香辛料になどに使用するので小型の精錬機があるというので、教えていただいたメーカのホームページを検索し、手頃な精錬機を早速注文。3週間程して届き、早速練ってみたところ何ともいい感じのチョコレートが出来ました。
こうして、カカオ豆から一から手作りの、自家焙煎カカオ商品が次々と誕生してゆくことになりました。
「自家焙煎カカオの羊羹」からはじまり、「自家焙煎カカオ・トリュフ」や、「カカオのブランデーケーキ」「カカオのロールケーキ」「自家焙煎カカオのドラジェ」ほかetc...、自家製ケーキや焼き菓子類にチョコレートおよびカカオニブを多彩に使用して当店ならではの人気のスィーツをお届けしています。